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……それでも
「もうちょっと、進展くらいあっても…」
そう言って、また机に突っ伏する私の頭に一知花の手が乗った。
「2人きりでいれるだけいいって思わなきゃ、じゃないの?
ていうか、いつものポジティブさはどうしたの。
なんか、気持ち悪い」
頭上から降ってくる言葉を、私はぐさぐさと心に響かせていた。
そうだよね、贅沢なんて言ってられない。
今の状況をもっと、喜ばないと…!
次に顔を上げた私は、目を輝かせていた。
「そうなると、講義じゃなくてデートとか実践してみるってのは、どう!?」
「あ、そこまでポジティブになるのね」
いつものひなだわ、と付け加えて笑う一知花。
女の子の気持ちだとか、 三角関係のどろどろ加減とか、そんなの講義してる暇があるなら…
「実践しちゃって、一気に距離縮める作戦!を決行します」
私は立ち上がって、大きくガッツポーズをした。
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