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どうしようか
気づけば靴箱に到着していて、私は小さくため息をついた。
なんだ……もう着いちゃったのか。
毎日一緒に登校していても、やっぱり徒歩10分のこの高校じゃ、
「深まるものも、深まらないよ…」
「また独り言、最近多いよな」
上履きに履き替え、瑛心はちらりと私を見てから歩き出した。
その背中を見つめながら、後を追うようについていく。
瑛心、もう高校生になったんだなあ。
ほんとは話すだけじゃなくて、手を繋いだりとか……とか、したい。
それは、幼馴染みの範囲内でっていうのは、百も承知。
それ以上のことなんて、私には……
「ああ!想像するだけで、禿げそう!」
「もう俺、お前の隣歩くのやめよっかな」
いつの間にか、瑛心が私の隣を歩いていた。
歩幅…………合わせてくれてる?
「へへ、ありがと」
「何にやけてんだか…ほら、もう着く」
ぽん、と軽く私の背中を叩く瑛心。
私の人見知りは、もうとっくに治ってるんだけど。
昔からの習慣が抜けないみたいで、
瑛心は毎日私の緊張をほぐそうと、背中を叩いてくれる。
そういうさりげない優しさ、好きだよ♪
心の中で愛の言葉を呟きながら、私は教室へと入った。
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