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「ちょっとトイレ行ってくる!」
教室に戻る途中、私は一知花に先に行くように言い残して、トイレへと向かった。
朝のホームルームが早く終わってくれたおかげで、まあまあ時間に余裕がある。
今朝からなんとなく行きたかったから、よかった……
───ドッ
!?
いきなりの背後からきた衝撃と、同時に鈍い音が廊下を響かせた。
よろっと身体を倒しかけるが、誰かに支えられたようで…
「ご、ごめん!大丈夫?!」
「……っ、」
そこにいたのは、今朝廊下を通りかかる時に目にした、男子生徒。
明るい茶髪に整った顔立ち……やっぱり特進科って感じだ。
「大丈夫です!」
慌てて自分で立ち、私はその場から立ち去った。
顔にあまり見覚えがない……ってことは、2年生?
でも、入学してからまだ数ヶ月。
1年生だったとしても、まだ把握してない生徒がいたということだろう。
当然だけど、ドキドキはしてない。
支えられた時は、確かに動揺したけど…
いくらカッコいい人だとしても、私の本命は瑛心だけ!
きらきら輝いて見えるのは、瑛心しかいないのだ!
そう何度も頷きながら、私は廊下を駆けていった。
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