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「じゃあ、子供たちを襲ったのも、ここの人?」 「いや、組織の人間だろう。ここの人間を使えば警察に身元を調べられた時にバレちまうからな。こことは繋がりのない下っぱ──モジャ男の言っていた鉄砲玉ってのは当たってたってことだ」 「……」 真実を一蹴してしまった負い目からか、竜さんが足早に進む。私もそれを強固にするために言葉を足していたので、心が痛い。 モジャ男さん──今は幸雄さん──がいなくてほんとによかった。彼ならきっと、小馬鹿にしている。 白い囲いをぐるりと回り、反対側で出入り口を見つけた。のはいいのだが、問題があった。 警備員さんがいる。それも遠目からでもわかるほどの、屈強そうな人が。 彼が組織の人か否かに関わらず、仕事に対して生真面目な人なら、簡単には乗り込ましてくれないだろう。 「……ん?お前ら、ここは関係者いが──あぐあっ!?」 今、何が?短い、低い悲鳴の前に起こった出来事が信じられない。 警備員さんは、近づいてくる私たちに咎めの言葉を投げてきた。しかし、それが途切れた。 竜さんが問答無用で、警備員さんの腹を殴ったから。いや、殴ったのかどうかも定かじゃない。 素早い動きで、気づくと警備員さんが気を失っていた。所長さんがその体を支え、白い囲いにもたれさせる。 が、案の定というか、力なくずるずると落ちていくだけだった。 「無理か」 「何がですか?」 「時間稼ぎだ。桐生が来るまでの」 仕事を勤めている警備員、というのに見せかけたかったってことだろうか。
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