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仰向けに倒れ、動かなくなった男性には目をくれず、竜さんは裏拳を、近くの男性の顔に浴びせた。 よろめいた男性の腹に蹴りを入れ、九十度近くまで折れた上半身に、返す刀でまた蹴り。 今度はうつ伏せで、気絶した。たったの数十秒で二人を負かした強さに、男性たちの動きに焦りが生じる。 けれど、数か、武器を手にしてる強みか、十数人が散り散りになった。竜さんを囲むように。 「うおぉぉぉー」 正面の、鉄パイプを手にして男性が、それを振り回して走る。 ──それは、注意を正面に引き付けるための罠だった。 背後の男性二人が、音もなく静かに気配を殺し、かつ素早く竜さんに飛びついた。両腕を拘束されてしまう。 「竜さ──」 「黙って見てろ」 危機なのに、と咎められたことに腹を立てた──のは間違いだった。危機なんかなかった。 男性二人の、全体重をかけているだろう拘束を、竜さんは腕を、体を無理矢理前後左右に動かし、外させた。 唐突でバランスを保てなかった男性の一人を蹴っ飛ばす。もう一人には、右ストレートを放った。 側面からあごに入り、抵抗なく男性の体が崩れていく。 「うっ……うおぉ!」 罠だったはずの鉄パイプの男性が、それを振り上げ、吠え、駆けた。乱雑に鉄パイプが降り下ろされる。 竜さんがはそれを、難なく横に避ける。だけど鉄パイプの男性は、続けざまに何度も、鉄パイプを振るった。乱暴に、乱雑に。 不規則な動きだからか、自分に当たることを怖れて、他の男性たちは二人から距離を取り始めた。
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