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口封じに決まってる。でも──。 「でも、子供たちが目撃したのって殺人事件ですよね。何で覚醒剤なんかが関わってくるんですか?」 「……」 沈黙。無視されたのではなく、推理をしているようだ。 発している雰囲気でわかるほど、私の洞察力が成長している。口火を切ったのは、所長さんだ。 「その事件の動機が覚醒剤絡みなんだろ。あれは、人を殺す理由になるからな」 「子供たちが見た被害者の男はもしかして、覚醒剤を持ち逃げしようとしてたのかもね。でも見つかって、殺された」 『殺人事件と言っているが、死体はなかったんだろ?』 スマートフォン越しに、桐生さんが推理の場に加わる。 「だが人が殺されたのは確かだ。あとで調べに行ってくれ」 『そうするよ』 手近な紙に書き記したのか、その音が大きく伝わってくる。 「んー……でもさぁ、おかしくない?」 思案していた恵莉華さんの口が動く。 「昨日の段階で、覚醒剤の存在なんてまったく見つけられなかったんでしょ?」 「あぁ」 「なのにどうして、運転手は使ったの?覚醒剤を隠してる車まで使って」 『それだとまるで君たちに、クスリの存在を教えてるようなもんだね』 脇見運転や居眠り運転による事故も許せるものではない。けど、覚醒剤使用による事故は、その二つに比べて、格段に罪が重くなるだろう。 危険運転と、覚醒剤使用の二つの罪がのし掛かってくるのだから。故意で行うなんて、絶対おかしく。 私たちだけじゃなく、警察にも、世間にも露見してしまうのだから。
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