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「キミは……誰?」
確認するようにそう聞いてみる。
「誰?やっぱりキミは僕の顔を忘れたんだね」
フフフッと小さな笑い声が聞こえた。それが聞こえると、僕のいる二丁目は白く変わった。
紙の白。画用紙かケント紙の紙のように真っ白な世界に僕は立っていた。
そこかしらに見えた建物は鉛筆かペンで描かれたように幾つもの黒い線で描かれている。時々、北風で揺れる木々は線で描かれているにもかかわらず、細かくゆらゆらと線を移動し小さくざわざわと音をたてる。
ふと僕は自分の手を見た。僕の手も風に揺れる木々と同じように、移動するたびに細かい線が移動する。
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