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「僕はキミ、キミは僕だよ」
そう冷たい笑みを浮かべる顔は、確かに鏡で見る僕の顔――。
朝起きて顔を洗う時も、歯を磨く時も、路地にあるミラーにも、学校の窓にも、ファーストフードの大きなガラスにも……僕はいろんな表情を浮かべる僕の顔と出会う。目の前にある顔もその一つ。
「嫌だなぁ。せっかく僕がキミに人の心が読める力を貸してあげたのに」
三丁目にいる僕は真っ白い紙に描かれた二丁目にいる僕とは違い、そのままの世界にいた。
何でもない家の門は僕と僕を隔てる境界線のようにゆらゆらと揺れている。何でもない家。揺れる門。
僕は小学生の頃を思い出す。
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