二章「妖怪の女王様」

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翌日学校で私は「ボロ」というあだ名が付けられた。 自分でも承知していた。自分の家はボロいということに。いや、正確には古い造りになってるとも言えようか。 昨日、クラスメイトの男子が私の後をバレないように付いて来たらしかった。それが原因らしい。汚いとかうざがられた。心の中で嫌な思いがした。 『なら、一層のこと殺しちゃえば?』 頭の中で年老いた男性の声が聴こえる。周りにはそんな人がいない。 私は花子さんのところに行った。 「うんうんけんか。そう言われても仕方ないわけんか。でも、こう考えてみたらどうかなけんか?古い家には古いだけ歴史があるけんか。その偉大な歴史の名称……いわゆるあだ名が『ボロ』だったってけんか。でも、体を傷つけられるようないじめがあったら私の声を大きく叫びなさいけんか。私が助けに行くけんか。もし、謎の声を聞いたなら従っちゃダメけんか?いいわけんか?」 「ありがとう」 彼女のけんかの語尾は相変わらずくどい。 『なんかうざったいよな、あの花子も。殺しちゃおうぜ?』 頭の中でつぶやく声を私は無視した。 時が流れて花子さんの言いたいことが分かるのはその時になるのだった。
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