三章 目覚めの始まり

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鎖の音が聞こえる。 目を覚ます。 「何だこれ?」 『やっと目覚めたか?』 謎の声が聴こえる。 「お前のせいだ!!」 私は大声で言う。 「何だ?騒がしいぞ?」 「まだ子どもだからパニクってるのだろう。かわいそうにな。俺らが言ったらビビるだろうから黙って待とう」 周りにいるだろう人たちがそう言う。 「子どもがどうした?子どもだろうが何だろうが、ここでは静かにしてもらわなければなぁ?」 「土方さん!!包丁はしまってください」 「お前ら、それで平気なのか?」 謎の声がまた聴こえる。 『俺のせいじゃねぇよ?お前を苦しめてる人間や幽霊たちのせいだよ。何よりもお前のその鎖が証拠だ』 (鎖?) 『そうだ。俺に力を貸せ。俺がお前を楽にしてやる』 (やだ!!) 『拒否権はねえよ?』 鎖がボロボロに砕ける。 目の前の鉄の柵が壊れ飛ぶ。 「お前が風夜君を苦しめてる、ゼラか?」 「あぁ、そうだ。ちなみにどこかのバカ幽霊が間違えてたが、俺の漢字は絶える羅線だ」 「今から死ぬ者の名前など覚える義理はねぇよ?」 「そりゃあ……」 その場で彼が後ろで倒れた音が聴こえた。 「お前さんの方だろ、土方?」 「土方さん!!貴様ー!!土方さんは俺らの大切な人なんだぞ!!」 「やめろ……俺以外の血を流すなら俺が許さぬ!!」 「土方さん……」 「血を流しながらもベラベラと言えるな?ゴミみてえな、人間がよ?」 「後でその子の体を使って……ぶはっ……」 「死んでおけ、そこで。じゃあな」 私の体は廊下をそのまま歩き、さらに階段の先に行く。 「死神との違いは生きてる人間も共に体験できるところだな、小僧?」 (やめろ……やめろ!!) 「やめろをやめろか。当たり前だよ。お前を楽にするさ」 警官が周りに集まっている。中には自衛隊もいた。その後ろに天皇がいる。 「こいつは九刀神ゼラ。今こいつの両手の指に挟んでる刀八本に口に加えてる一本で九本だ。そして彼のやることから先祖様はこうおっしゃられた。九刀の刀が頭のようでまるで九頭……クズ神だな、と」 「やっぱりあの時、全滅させるべきだったよ。天皇一家。信長の野郎や家康の野郎に権利を与えて身を隠したんだろう?まぁ、そんなことはどうでもいい。そのころの恨みを晴らす呪いとして人間に付けた。もちろん、俺はこいつが生まれるまで待った。待ち続けた」
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