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正午になったばかりで、まだ人は少ないが、なんといっても目立っているのは奥の窓際に置かれたクリスマスツリーだ。
姫良の背の倍くらいありそうで、オーナメントが日光を受けてキラキラしている。
姫良はトレイに好きなものをのせていき、ツリーの傍にある窓際のテーブルを陣取った。
通りを見下ろすと、コート姿で歩いている人は肩をすぼめて寒そうにしている。
対照的に、ここは暖房と日光のせいで暖かすぎるほどだ。
五分くらいして紘斗の姿が見えた。
姫良がどこにいるか知っていたかのようにまっすぐに目が向いて、紘斗はかすかに首を動かすと、トレイを取って列に並んだ。
まもなく紘斗は姫良のテーブルにやってきた。
「お疲れさまです」
いい響きだと思いながら声をかけると、紘斗はからかうような顔つきで薄く笑った。
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