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今朝、出勤するときの薄曇りだった空は、透き通った青の面積が勢いを増していく。
ブラインド越しに日光が差す窓際は暖かく、ともすれば外に飛びだしたくなる気配だが、あいにくと仕事に時間を制約されている。
もとより、そういった気分になる暇もないくらい、姫良は必死でパソコンに向かっていた。
「遠野さん」
ゴールデンウィークの前後、同じような仕事をしてせっかく慣れていたはずが、半年以上たった年の暮れ、姫良の頭はほぼリセットされてしまっていた。
貴刀グループ本社で、今週から年末年始のアルバイトに入って二日めというクリスマスイヴ。
慌ただしく時間だけがすぎている。
「遠野さん、ちょっと」
姫良はパソコンの画面に見入り、与えられた情報と自分の入力のどこが違っているのか、目を凝らして見比べた。
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