第18話 宿り木の鶫

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受け持った二十二日のデータとそのまえ一週間のデータを比べると数字の桁数がはっきり違っている。 入力後、念のためにとチェックしてそう気づいたまではよかったが、間違いが皆目わからない。 数字は十種類しかないというのに、それが束になると、どうしてこうも違いを探しにくくなるのだろう。 いや、十個しかないから探しにくいのか。 「遠野姫良!」 ぴしゃりとした声が姫良をフルネームで呼ぶ。 びくっとした手がマウスを滑らせ、データ表を果てしなく選択してしまった。 おかしなことにならないように慌てて選択を解除して、姫良は斜め後ろを振り向いた。 「何、ひ……」 思わず名を呼ぼうとした姫良は、紘斗が目を細めたのを見て慌てて口を噤んだ。 一つ深呼吸をする。 「はい、吉川主任」
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