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「さっきから何度も呼んでるけどな」
「すみません。なんです……なんでしょうか」
笑いさざめく声が立ち、姫良はきまり悪く困惑しながらも、言葉遣いに気をつけるように注意されたことを思いだして云い直した。
それ以前の問題として呆れているのか、紘斗は大きく息をつく。
そして周りを見回した。
紘斗はその流した視線一つで笑い声をおさめた。
気まずさが生じるでもなく、社員たちは首をすくめたりと、おどけた表情を浮かべてからそれぞれ仕事に集中していった。
紘斗はデスクを離れ、姫良の脇までやってきた。
「何が問題だ?」
「あ、データ入力を間違っているだけで大丈夫です。いまチェックしてます」
姫良からマウス奪い、しばらく画面をスクロールさせて眺めていた紘斗はすぐに手を止めた。
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