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「まぁでも俺は優しいから? 恭弥が言いやすい状況をつくってあげようかなって、そう思って」
「――え?」
「俺のこと好きって認めるまで、離してやらないから」
なんじゃそりゃっと叫びたいのを再度俺は必死で呑みこんだ。
そりゃ認めたくないけど(この期に及んでまだそれかと自分でも思わんでもない)、俺だって好きなわけで。
「とりあえず、俺は好きだよ、恭弥」
なんてことを言いながら、俺にキスしてくる残念な変態に、俺は全身から力を抜いてしまっていた。
あぁ、なんだこれ。やってられない。意味が分からない。意味が分からなさすぎるくらい、動揺してるのに、浮かれてる。
早坂が嬉しそうに笑ったことに、なんともいえないこそばゆさを感じながら、もったいないことをしたなと初めて思った。
俺は、あの日、どうやってこいつとそんな状況に持ち込んだんだろう。
いつか思い出せるときがくるのなら、思い出したい。そうでなくても、少なくとも、これから先のことはきっと忘れない。
人間万事塞翁が馬。
だがどう転んでも、向き合った今、後悔しないだろうと思っている。
ところで後日談として、翌日目が覚めた瞬間、待っていたのは初夜でした的な甘い雰囲気では一切なく、必死な顔した早坂の昨日のこと覚えてるかチェックだったということを伝えておこうと思う。
素面の頭で、「愛してる」だとか「俺も高2くらいの頃から好きだったんです」とか「周りにいる女の子に嫉妬してたのも事実です」だとか、いちいち口にするのはどんな羞恥プレイだと思わなくもなかったが、隣で早坂が幸せそうに破顔していたから良しとしておくことにした。
【 そこから始まる恋もある!- 完 - 】
これにて本編完結です!
お付き合いいただきましてありがとうございました。続編、番外編等はまた順次掲載予定ですのでよろしければお付き合いください。
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