2人が本棚に入れています
本棚に追加
――――――――――――――――――――
私の家庭は、武道を教える道場がある。
とは言っても、代々続いているだとかそんな事はない。
私のお父さんがあらゆる武道を習った時、もっと多くの人達に広めたいと思って作ったもの。
そんなお父さんは、自分の子供を1番に教える事を望んだ。
そう、自分の息子に。
でも、生まれてきたのは女である私。
その5年後に、私のお母さんは死んでしまった。
私を生んだ反動が、今になってきたらしい。
らしい…なのは私が6歳の時に聞かされたからだ。
「お前の母は死に際に言っていた。
『黎を立派な大人に育ててほしい』…と。
だから俺は、お前を育てる。」
その言葉があったからこそ、私を今まで育ててくれたのだろう。
でもね、お父さん。
6歳の私でも、分かることはあるんだよ。
その時に見たお父さんの瞳は、私を見ていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!