いちばん

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[色の小話] *ミヤコウタを駆ける色 潮騒が聞こえる。 何処にいても、何をしていても。 ある時は微かに、ある時は轟くように。私の中で、引いては寄せる。悲しい音。 ミヤコウタと呼ばれる小さな町は、沢山の色で溢れている。どれも優しくて温かい。例えるなら、そう。お日様みたいな、そんな。 「……」 そこまで考えて、空を見上げた。 青と赤が混じった、まだ夜の明けない空。未だ静まり返った町並みは、ほの暗いものであるが、どこか優しさに満ちていて。何故だか泣きたくなってしまう。それがどうしてなのだか、自分でも分からないから、息を思いきり吸い込んでから、旋律に乗せて声を吐き出した。 悲しくはないのだ、泣く必要など無いのに。どうしてなのだろう。何処かで、潮騒が聞こえた。 青と赤が混じった空の下。声を吐き出し、壁を蹴り、屋根を駆け、塀を飛び越える。今日も私は生きている。この、優しい町で。 ─────── ミヤコウタを駆けたいです。私は。 とりあえず色は夜明け前に新聞配達の為ミヤコウタ中の屋根から屋根をピョンコピョンコしてますよーってお話です。 潮騒が何故聞こえるんでしょうねー、心理的なモノでしょうね、はい。
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