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扉から出てきたのは小春ではなく、
水色と白を基調にした、何の動物かはわからない着ぐるみだった。
「…小春?」
そう俺が尋ねると、俺の方に手を振りながらその着ぐるみは近寄ってきた。
近づいてきて気づいたのだが、
目の部分が深く彫り込まれていて
角度が変わってもこちらと目が合うようになっていた。
その構造のおかげで色んな表情を見せる。
俺の前まで来て着ぐるみは立ち止まった。
そして優しく抱きしめられた。
「小春、だよな?」
俺が恐る恐る尋ねると、着ぐるみは俺から手を離し大きく頷いた。
そのままそそくさと先ほどの部屋へと戻った小春は、
スケッチブックを持って現れた。
スケッチブックには
(この格好のまま暫く付き合って。)
そう書かれていた。
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