小春

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五分程経った頃、彼女は着替えて戻ってきた。 顔を火照らせ髪がくしゃくしゃで汗に塗れて湿っていた。 「伊藤くん…。」 「どうした?」 小春は語り出した。 大学で初めて着た時に快感を覚え 着ぐるみが趣味になったこと。 自分用に先ほどの着ぐるみを作ったこと。 そして、俺のことが好きだということ。 この趣味のせいで嫌われるかもしれないと不安だったが、 知って貰ってから嫌われたかった。 俺がロック好きなのを家にあがった時のポスターやCDを見て知って パンクファッションにしてみたらしい。 一方的にしゃべり終えると俯き、彼女は無口になった。
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