第1章

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この作品はフィクション(虚構)であり、 実在の人物・団体・事件・歴史・組織・思想・宗教その他などとは一切関係ありません。 人物紹介 斉木 怜(サイキ レイ)……F1ドライバー。通称名パンサー。サイキ財閥の息子。タイヤメーカーグリッドファイア会長の孫。 フレデリック・ベッドフォード……戦争屋。世界の半分を手に入れている男。歴史を動かす存在。 笹木 雄之助(ササキ ユウノスケ)…怜のマネージャー。従弟。 ガーウィン……フレデリックの片腕。 ティム……フレデリックの片腕。カーネマンの孫。 フレコ……傭兵であり、フレデリックの護衛と民間軍事会社の取りまとめ役。 カルヴィン……フレデリックの片腕でありフィクサー。現在は中央アフリカに在住。 斉木 禮一郎(サイキ レイイチロウ)……サイキ財閥の会長。怜の父親。 斉木 リヴカ……アメリカのタイヤメーカーグリッドファイア会長の娘。怜の母親。 丸井……現在はサイキで禮一郎の秘書をしている。 カーネマン……11年前に死んだ男。戦争屋。ソビエトの門と呼ばれた世界の歴史を動かす男。6歳から7年間怜を養育していた。 エルネスト・ルヴェルディ……2年前に死んだ男。怜の恋人。 もくじ レイ2 レイ2.5 Intermission 3.0 レイ 2.0  12月6日 ニューヨーク  ニューヨークの432パークアベニューにあるコンドミニアムの、80階の部屋に入ったとき、斉木 怜は何か月も放ってあったはずの部屋の空気が、新しい空気に入れ替わっていることに気づいた。オートで空気は入れ変わる作りであったが、それでも閉ざされた空間はどうしても澱む。  その独特の埃っぽいような、何か月も締め切った匂いがない。  誰かが、影も形もなく侵入したのは間違いがなかった。しかもおそらくここ数日のうちに。  怜は静かに部屋に入りながら、ここにフレデリックの手の者が何かを確かめに来た可能性があることを、それとなく察した。そして、あの男にかかればこんな事など容易であるのもよくわかっていた。  自動でライトがリビングまで点灯する。床の白い大理石が、照明を暖かく跳ね返した。  怜に続いて食品の袋を抱えて笹木が入る。長く続いたCM撮影の後、既に夕食を終えてからたどり着いたコンドミニアムのリビングからは、ニューヨークの華々しい夜景が見えた。 「何か摘まみますか?」
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