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「お姉ちゃん、手を出して。」
香澄が鏡に手をつけてくれた。
手を伸ばしたい、でも、香澄にこんな思いをさせたくない。
私は手を出せずに泣いていた。
「香澄ちゃん、ドアを閉めるから出て。
お母さんと一緒に美津子ちゃんを探しなさい。」
先生の声がした。
「お姉ちゃん、急いで。」
困ったような香澄の顔。
手を出そうか、また、香澄と代わればいいんだから。
私がここから出たら、みんな鏡の中にいた事を信用するし。
でも、…。
悩んでいる間に、先生が香澄を連れて、ドアを閉めた。
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