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廊下で母が必死に私を呼んでいる声がする。
パトカーのサイレンが学校の前で止まった。
どうしたらいいの?
大人には私が見えない。
【バタン】
更衣室に警察官が入ってきた。
「ここもいないな。
妹さんが、ロッカーの鏡の中にお姉ちゃんがいる。とか言っていましたけど、ホラー小説じゃあるまいし、ありえませんよね。
仲が悪い姉妹なんでしょうかね。」
「こんな時に冗談言ってる場合じゃないだろうに。
両親のしつけが悪いんじゃないか?」
まさか、そんな風に言われるなんて。
警察も助けてくれない。
警察官はすぐに更衣室を出ていった。
「後は警察の方で捜査しますので、ご家族のかたは1度家に帰って下さい。」
廊下から警察官が母に話している声が聞こえた。
私はここにいるよ。
さみしい。お母さん行かないで。
《お姉ちゃんは、更衣室の鏡の中にいるのに、誰も信じてくれない。
どうしたらいいの。》
《こんなに探しても見つからないなんて。
美津子、一体どこにいるの?》
頭の中に、母と香澄の心の声が聞こえてくる。
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