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今年の森の恵みに感謝し森での仲間達に感謝し、新しい年を迎えることが、森に住む者としてのしきたりになっている。
もちろんたぬきとキノコをくっ付けた様な姿が、何とも可愛らしいたぬきのこのキヌタでさえも同じであった。
1ヶ月前……
「今年の年末パーティーはうちでやるか。コノキとギンタローも呼んで……新年はカルタでもやるかな。あとはお汁粉と雑煮を交互に食べよう!」
フフッと笑みを溢しながら二人に手紙を書いた事から、今回の話は始まる。
それから1週間以内に、二人から了承の返事が来て、キヌタは慌てて部屋の掃除を始めていた。
「キヌター!」
「コノキ?中に入れよ!」
キヌタの言葉を受けて中に入ったコノキは、割烹着に三角巾、更にはたきを持ったキヌタの姿を見て凍りついた。
「え?掃除してるの?」
「これがサッカーしてるように見えるなら、アイアイ眼科に行って手術して貰ってこい」
「いや、それは大丈夫だけど……。お客さんでも来るの?」
キヌタははたきを使いながらも、コノキの質問に答えた。
「年末年始のパーティーのため……ごほ……ごほごほっ」
「げほ……掃除するなら窓開けなよ!……ごほごほっ」
コノキが慌てて窓を開けると、凍てつくような風が吹き抜けた。
「寒いっ!」
「寒くてもホコリまみれになるよりましだよ!……仕方ないから僕も手伝うよ!僕は窓拭くから、キヌタはホコリ落として掃除機掛けてね!」
そして3時間後……
綺麗になり窓を閉めた暖かい部屋で、二人はココアを啜っていた。
「で?コノキ、何か用があって来たの?」
「え?……あ!うん。年末パーティーって泊まり込みでしょ?何か持ってきた方が良い物とかある?」
「んー……餅と白玉粉と……小豆缶と白菜とごぼうと人参と……だしの素と……。肉はあるから……キノコと……」
「僕は行商のおばあちゃんじゃないからそんなに持ってこれないよ。……しかも何作るの?鍋?でも鍋に白玉粉とか要らないよね?」
キヌタはココアを一口飲むと、きっぱりと言った。
「鍋と雑煮とお汁粉!」
「え?鍋づくし?」
「じゃあ寄せ鍋とすき焼きとモツ鍋でも良いよ!」
「鍋をとりあえず頭から外そうか」
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