年末だ!たぬきのこ!

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「寒中水泳かぁ。風邪ひくぞ?……それとも海の男はみんな風邪ひいて年越しするのか?」 コノキは唖然としたままで、ギンタローを見つめていた。 「いや、違うけど。新年は海の神様のご加護を貰うために、身体を海に浸けて清めてから、暖を取りつつ熱燗や鍋料理を楽しむんだ」 キヌタの脳裏には、極寒の中で海に浸かり、トレードマークのテンガロンハットが高波にさらわれ、それを慌てて追いかけるギンタローの姿が映し出されていた。 「色々大変なんだな。……さて、ここは森だから今日は森のルールで過ごして貰うぞ!……まずは鍋だ!今日はギンタローが持ってきたホタテと鮭、そして野菜と……昨日取ってきた猪肉!」 「猪?」 キヌタは鍋を火に掛け、首を傾げるギンタローに説明しながら具材を次々と入れていった。 「あぁ。薪割りしてたら良いタイミングで出てきて、襲ってきたから斧ダイナミックアタックで……」 「そ……そうなんだ?猪肉は初めてだよ」 「キヌタは良く猪とかを倒して食べてるんだよ」 コノキは小鉢を出しながら、ニコニコと微笑みを浮かべてギンタローに告げた。 「まぁ戦意(殺る気)のあるやつしか戦(く)わないけどな。ぼたん鍋は旨いぞ!」 自信満々に話すキヌタに、ギンタローは凄いと思いつつも、『斧ダイナミックアタックって何だろう?』と考えていた。
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