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「これこそ海と森の融合鍋!題して!【ゲーさん鍋】だぁ!」
「キヌタ!ゲーさん入ってないから!いくら元は海の人で、今は森にいるからって失礼だよ!」
鍋の中を指差しながら言うキヌタに、コノキは慌てて止めに入った。
キヌタは仕方なく今度は【海鮮ぼたん鍋】と訂正し、ギンタローに味噌だれを差し出した。
「今日は森のおもてなしだ!遠慮しないで食べてくれ!肉が足りないなら、一走り行って戦って来るから!」
「……ワイルドな生活なんだね。森ってキノコとか野菜とかのイメージだったけど」
そう言ったギンタローにキヌタは笑顔で告げた。
「世の中全て弱肉強食!焼肉定食!セクハラ停職!って言うだろ?」
「違うから!ダメだから!それ!」
「まぁ良いからコノキも食えよ!細かいこと気にすると尻尾のキノコ枯れるぞ」
キヌタはそう言って薄切りにされた白菜と猪肉を取り、味噌だれに付けて口に放り込んだ。
「はふはふ……うん!旨い!さすが俺の味噌だれ!良い味出してる!」
「この味噌だれってキヌタが作ったの?」
驚くギンタローにキヌタは箸を向けつつ答えた。
「いや。これはコノキが作ったやつ。俺の小鉢に入った瞬間から、俺の味噌だれになって良い味を出したんだ!」
「……ギンタロー、気にしなくて良いよ。キヌタはいつもこうだから。……あ、キヌタ。オタマ取ってくれる?」
繰り広げられる2人の会話に戸惑いながら、ギンタローは鍋に箸を伸ばした。
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