1人が本棚に入れています
本棚に追加
「1、2、3。」
目的の店を見つけた。
いや、正確には目的の店だ、と思う。
『裏路地を右に曲がって右手側の三件目の店』
手元の紙に書かれた通りの道を辿ってきた。
その店の両隣はスナックで、向かいの店もスナックだった。
目的の店のドアは漆黒で、脇の壁には窓もなく中を窺い知れない。
看板はないものの、ドアの横にグレーのプラスチックの表札があった。
マジックで手書きされている。
『よしなに』
よしなに。
店の名前だろうか?
苗字か?
分からない。
店の名前は知らされていなかったし、辿り着けたのならこの際必要ないようにも思えた。
最初のコメントを投稿しよう!