第1章

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「1、2、3。」 目的の店を見つけた。 いや、正確には目的の店だ、と思う。 『裏路地を右に曲がって右手側の三件目の店』 手元の紙に書かれた通りの道を辿ってきた。 その店の両隣はスナックで、向かいの店もスナックだった。 目的の店のドアは漆黒で、脇の壁には窓もなく中を窺い知れない。 看板はないものの、ドアの横にグレーのプラスチックの表札があった。 マジックで手書きされている。 『よしなに』 よしなに。 店の名前だろうか? 苗字か? 分からない。 店の名前は知らされていなかったし、辿り着けたのならこの際必要ないようにも思えた。
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