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「白雪、また振ったって本当?」
「え?あぁ、経理課の彼の事?」
「そうよ、あのイケメン君!もったいない…結構狙ってる子多いのに」
悔しそうに給湯室の弱そうな壁を叩く彼女は私の同僚の梨子(りこ)
この顔と行動からして彼女も狙ってた1人だと推測する
「だって…興味無いし、あんな人初めて話した」
そう、好きとか嫌い以前に興味が無い
しかも初めて話した人と付き合う事が出来るのならば精々近所の買い物くらいだ‥‥会話にも困るだろうけどね
「…興味無いって…アンタの興味無いって深すぎて怖いわ…まだ夢みたいな事言ってる?」
梨子は寒いのか震えるように両肘を抱えて私を見た
この光景は大学の時からよく知ってる
「夢って…ただ王子様との出逢いを待ってるの!」
「……」
「いつも通り黙るなら聞かないでよ」
想像通りの無言の態度に給湯室から出て自分の持ち場の秘書課に戻る
私は小石川白雪
今年で社会人2年目のOLだ
梨子とは大学からの付き合いで仲良く就職先も一緒になった
結構大きな出版会社に就職出来て両親は喜んでる
『これで、素敵な男性と恋に落ちたら素敵ね、お父さん』
『あぁ、白雪が早く現実の異性に興味を持ってくれると有り難いなぁ』
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