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 とつとつと、何を話したかも覚えてもいないくらいどうでもいい話を、いったいどれくらいしたのだろう。  気がつけば夕焼けで、五時の鐘が鳴り響いている。 「五時だね」 「うん。……あ」  そういえば、ぼくは真島と約束があったんだ。だからここに来たんだっけ。そして、その約束の時間が、遅くても五時。夕くんがここにいると、真島は言いたい事を言えないのではないだろうか。いや、絶対に言えないだろう。せっかくここまで待ったのに、やっぱり言えませんでしたってなったら、ぼくだって、流石に怒ってしまうかもしれない。  だから、夕君がいるのは、ちょっと困る。 「あのさ、夕くん」 「なんだい?」  事情を話そうと思って、声をかけたが、少し躊躇う。躊躇うけど、夕くんなら分かってくれるはずだ。そう信じて、ちょっとだけ屋上から離れていてほしい事を伝えようとした。  それなのに、本当に、今日の彼女は間が悪い。 「ごごごご、ごめんね浅井君っ。待たせちゃったよね」  いつのまにか、真島がやってきていた。  何で今日に限って、今まではち合わせた事のないんじゃないかってほどの二人が、二回も会うんだ。いや、ぼくは困らないけれど、真島が困るだろう。そして、真島が困ったら、やっぱりぼくも困るんだ。  夕君が僕の顔を見て、首を傾げる。 「もしかして、待ち人きたり、かい?」 「いや、そうなんだけど、夕くんあのさ」 「浅井君っ」  しかし今度の真島は違った。夕くんがいるというのに、気にすることなく、いることにも気が付かないように、話しだしたのだ。  それだけ、覚悟を決めてきたらしい。  でもちょっと待ってほしい。夕君に説明する時間をもらいたい。そう言おうと思ったけれど、覚悟を決めた真島は止まらなかった。
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