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電子音が聞こえる。聞いたことのない音だ。
一定のリズムで、なんだか、眠くなりそう。催眠術みたいだ。
瞬きをする。段々と意識が、ぼんやりと、現実味を帯びていく。
そしたら、人の声が聞こえた。これは聞いたことがある。お父さんとお母さんの声だ。だけど、嫌いな声だ。また、喧嘩してる。
目を開ける。知らないものがいっぱいだった。
天井も、風に揺れるカーテンも、変な機械も、何もかも、観たことがない。
ぼおおっとそれらを見ていたら、目を開けたぼくに、お父さんとお母さんが気がついて、慌てて近寄ってくる。泣き叫んでしがみついてくるお母さんと、泣きながらも必死に何かをしているお父さん。二人とも、何でそんなに取り乱しているのか分からないけれど、落ちついてほしい。
笑ってほしい。ぼくは、元気だから。
笑ってもらおうと思って、まず僕が笑おうと思ったけれど、体が痛くて笑えない。どうしてだろうと不思議に思ったら、すぐにお医者さんと看護婦さんが来た。どうやらここは病院みたいだ。
ああ、そういえば、屋上から落ちたんだっけ。
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