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あれこれ考えていたせいで、いつの間にか横山がつかまえてくれたタクシーを通過してしまった。
「うわ、すみません!」
小走りで戻り、慌ててタクシーに乗り込んだ。
「…」
「?」
「奥につめてもらえませんか?」
「は?」
「僕が乗れないでしょう?」
「の、乗るんですかっ?!」
「当たり前です」
その威圧感に押され、半ば怖じ気付く形で座席の奥に移動した。
澄ました顔の横山が、私の隣に乗り込んでくる。
…何故だ?
「すみません、先に西町方面に行ってもらって その後港町にお願いします」
丁寧に運転手さんに告げているのはいいけれど。
私が降りる西町から、港町?
どれだけタクシー代がかかるのよ!
「か、係長、港町って」
「…僕のマンションが港町ですから。いけませんか?」
「いや、そうでなくて、お金」
あぁ、と横山が笑った。
「貴女よりは給料、もらってますよ」
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