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雨降りの地面に転がったのだから、それは悲惨な状態だった。
スカートはドロドロ。
ストッキングはおそらく破れた。
掌がヒリヒリする。
ビニール傘は飛んで、あらぬ方向に骨が曲がりコロコロと地面で揺れている。
鞄とコンビニ袋は側の水溜りで泳いでいた。
おまけにバスが…
バス停に転がる私に関わるまいとしたのか、スピードも緩めず通過した。
「あぁ…」
今日は厄日なんだった。
無情に去っていくバスのお尻を見ながら、茫然とする。
そういえば、猫!
ハッと思い出し、慌てて辺りを見回す。
尻餅をついた私の下敷きになったような気がした。
けれど、その姿は消えていた。
猫は機敏だ。
それに臆病だから、すっ飛んで逃げたんだろう。
私のせいではないけれど、悪い事をしてしまった…
ノッソリと起き上がり、水溜りから鞄とコンビニ袋を救出すると スマホを取り出す。
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