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女子がたくさんいるお洒落な洋風居酒屋で、私はやっぱり落ち着かない。
曽根崎くんと店に入るなり まず店員の女の子の目がハートになって、それから席に案内されるまでの僅かな移動距離の間に どれだけの女子がアイドル君に瞬殺されたんだろう。
彼の後に続く私に注がれる、女特有の品定めの様な視線に鳥肌が立った。
ここにも木霊が…
〝見た?あの人素敵〟
〝タレントさんじゃないよね?〟
〝何、一緒にいるダサイ女〟
いや、木霊ではなくナマ声。
会社ではない分、遠慮も何もあったもんじゃない。
こんな店じゃなくて、オヤジが集まる焼鳥屋で良かったのに。
非常に居心地が悪い私を知ってか知らずか、アイドル君はメニューを広げ
「まずはアルコール、いけますか?」
と、それは爽やかな笑顔を向けた。
「えっと、少しなら飲めます」
「良かったです。じゃ、ビールと…後は適当に頼みますね」
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