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本当に、出来ることなら頼りたくなかったけれど今日は厄日。
これもその一部なんだ。
私の五歳上のお兄ちゃんは、美容院を経営している。
一応美容師で、専門はメイキャップアーティスト。
お店も繁盛していて、たまに出張して雑誌撮影のモデルさんのメイクを手掛けたりもする。
同じ両親から生まれたとは思えないくらい、お兄ちゃんは中性的な顔立ちの美形だ。
多分、両家のDNAの良い部分をお兄ちゃんが受け継ぎ、残った部分のカスを私が受け継いだんだと思う。
男女問わず人気があったお兄ちゃんだけど、小さな頃から女の人が苦手で結局あちら方面に走っていった。
お父さんもお母さんも『博樹(ひろき)の人生だから』とさほど動揺しなかった。
あの業界には同じような人が多いらしく、今は生き生きと輝いて毎日充実しているようだ。
ーーただ、迷惑なのはーー
有難いかな、彼は私を溺愛している。
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