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「二年経って、貴女の支店に営業社員の欠員が出来ると聞いた…曽根崎を潰すチャンスが巡ってきたんです」
横山が、真っ直ぐに私を見た。
司くんを支店に異動させ、お世話係という名目の〝囮〟を使い 今度こそ慎重に確実に包囲するつもりだったんだ。
その囮に選んだのが、この私。
「私がもし、本社の女性と同じことをしたら…」
可能性は有りすぎるくらいあった。
私はただ舞い上がり、司くんの恋人になると信じていた。
三郎がいなかったら。
渚ちゃんと一緒のところを目撃しなかったら。
私も彼に利用されて、堕ちて、泣いてーー
「私が係長にとって都合の良いバカな部下だからですか?だから、私を囮に選んだんですか?私の気持ちなんか、二の次で」
横山は本社の人間、私をずっと監視出来るワケがない。
私は、例え司くんの思い通りに利用されても仕方のない〝捨てパイ〟の様に扱われたということ…?
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