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嫌味で冷たくて、何かと私を弄り倒す横山が怖くて苦手だった。
それでもこの六年、私なりに横山の指導の下で頑張ってきたつもりだ。
必死で、とはとても言えないけれど 会社の為に真面目に働いてきた。
…その結果が〝囮〟なのか。
雑草もここまで踏み躙られると、涙も出ない。
ふぅ、と横山が息を漏らした。
「最初に言いましたよね?六年貴女を見てきて、この役は貴女にしか出来ないと思ったんです。決して〝囮〟などではない。立派な〝任務〟です。危険があれば 直ぐに助ける算段も出来ていました」
「係長は、本社勤務じゃないですか。支店のことは直ぐには見えないのに、どうやって助けてくれるんですかっ!」
とうとう声を荒げてしまった。
司くんは、横山係長はみんなに嫌われていて 噂の発信元で、女遊びもしていると言っていた。
その信憑性はともかく、今 目の前の横山 大輔という男に 無性に腹が立つ。
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