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「相変わらず、大輔さんも不器用な。少しはおじい様を見習うといいんです」
岩元さんはさも愉快そうに笑うと、私にだけ上品にウインクした。
「お嬢さんも大輔さんのお気持ち、汲んであげてくださいね。至難の技でしょうけれど」
「岩元さん…!」
まだ何か私に喋りたそうな岩元さんを、横山がゴホッという咳払いとともに遮る。
横山は不器用なんかじゃない。
その仕事っぷりは、完璧主義で有名だ。
…だからこそ、本社で司くんの不正を暴けなかった事は 彼にとって屈辱以外の何物でもなくて、今回 司くんを追い込む為には手段なんか選ばなくて…
残念ながら横山のお気持ちが汲めるほど、私は優秀な部下ではない。
至難の技と言うのなら、なおさらだ。
「とにかく、送りますから。支払いは気にしないでください」
「…ありがとうございます。ご馳走様でした。でも、一人で帰れますから送らなくて結構です」
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