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暗くなり始めた道を、バス停までトボトボと歩く。
雨は小降りになってきたけれど、風が吹いてきた。
まだ乾いていない服に生暖かい風が吹き付けて、不快なことこの上ない。
濡れたスカートが足にまとわりつき、歩きにくいこと。
「あー、ムカつく!何で私がこんな目に合うのよっ。最初に付き合ってくれって言ったの、あいつでしょ?バッカじゃない?」
周りに誰もいないけれど、遠慮がちに悪態をついた。
でも悲しいかな、現実は見てきたままだ。
誰もいないバス停に着いて、バスの時間を確認する。
「あと三十分待つの?!」
辺りはもう閉まっている店や住宅があるだけで、時間を潰せそうにもない。
…今日は厄日だ…
さっきの生々しい男女の絡みが蘇る。
たった一ヶ月前の、彼の笑顔、彼の温もりが頭を掠めた。
急に溜め込んでいた感情が押し寄せてきて、私はその場に座り込む。
「ニャー」
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