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猫は普通、警戒心が強いのにそんな素振りは全く無い。
それどころか、拭いている間も私に身を任せ ジッとしている。
「あんた、野良?迷子?」
「ニャーン」
この栄養が足りていそうな胴回りからして、飼い猫なんだろうか…
お、ブツが見えるから、雄か。
「バスが来たら乗らないといけないからさ、それまでしか相手出来ないけど いい?」
「ニャー」
ビニール傘に一人と一匹が寄り添う。
所詮 私には猫の雄との相合傘がお似合いなんだ。
「…何がいけないんだろうね、私」
猫の顎下を撫でながら、誰にも言った事のないかねてからの〝疑問〟を口に出した。
「顔はね、お世辞にも美人とはいえないし スタイルだって人並み以下だし、その辺は自覚してるんだ」
グルル、と喉を鳴らし 猫が私を見上げる。
「それでも一応、付き合ってくれる人が何人かいたのに…いつも 振られる」
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