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女に生まれて二十八年、片手ほどの人とお付き合いしてきたけれど どの人にも最後には振られた。
さっきのような強烈な出来事はなかったにせよ
『志織(しおり)ごめん』
最後のセリフはみんな同じだった。
喧嘩をした訳でなく、仕事に燃えて相手を疎かにしていた訳でなく、結婚を迫った訳でなく、至極普通のお付き合いをしていただけなのに。
「てことはさ、私の性格に問題アリって事だよね?」
お付き合いの最長記録は半年。
短い人は一ヶ月。
「…何でだろ…自分じゃわかんない」
「ニャ」
まるで返事をするみたいに、猫が相槌を打つ。
「友達みーんな結婚しちゃってね、赤ちゃんがどうとか、お姑さんがどうとか、話も段々合わないんだ。もうこんな若い子みたいな相談 出来ないの」
「ニャゴ」
可愛い…
汚れているけど、多分 三毛猫だろう。
私が小さい頃に飼っていた猫の『三郎』に似ている気がする。
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