夢の続きの話をしよう《4》

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「なんでそんなカッコつけた格好なわけ、おまえ」 ぶっきらぼうに口にした瞬間、へたり込んでいた折原がぱっと顔を上げて、すでに出来上がっている宴会場に上り込んできた。 「ちょ、聞いてくださいよ、先輩! 俺だってね、今日は絶対一番乗りでここに来たかったのに! って言うかなんなら迎えに行きたかったのに!」 「いや、聞いてねぇよ、そこは」 大型犬よろしく尻尾を振ってちゃっかり隣に割り込んできた折原に、周りから明るい笑いが起こって、内心ほっとした。 が、直後、なんで俺がほっとしなきゃいけないのかと疑念が沸き起こる。 本当になぜかわからないのだが、無愛想な俺に好き好んで懐いて着ていた唯一の変わり種の後輩だから、面倒見てやらなきゃいけないような気持ちになるんだろうと言い聞かせて、俺はやたら決め込んでいる折原をまじまじと見てみた。 「雑誌の撮影だったスよ。俺、今日は無理っつたのに、スケジュール無理やり入れられちゃって。それでそのまま急いできたから、なだけですからね、これ」 「雑誌って、おまえ、なんの雑誌だよ。っつかおまえは何目指してんの」 「相変わらず、佐野はさくっといくなー。でもホント、最近おまえなんか女の子向けっぽいのに普通に載ってるよな。俺、彼女の部屋で見て吹いたんだけど」 「山藤の彼女ってあれだろ。こないだ合コンで見つけたっつう巨乳美女!」
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