夢の続きの話をしよう《4》

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「そう言えば、佐野。知ってるか?」 「……なにを」 「今じゃ信じられないけど、あいつ中等部に入ったころ、おまえのことかなり苦手だったみたいだぞ」 からかうように口にした富原に、俺は黙って灰を空き缶に落とした。 知っている。 確かにあいつが超中学生級のエースとして入学してきた当時、俺も一応一軍に在籍していたわけだが、折原から喋りかけられた記憶はほとんどない。 それがなんでこうなったのか、きっかけを俺は知らない。ただいつしか、振り返ればそこにいるようになってしまっていたのだ。 「どうせおまえが勝手に、俺を『良い人』に仕立て上げたんだろ」 無理矢理のようにして微笑うと、富原は緩やかに否定した。 「そんなこと、してないよ。――まぁ、あいつが苦手だって言うたびに、よく見てみろとは助言したけどな」 「っつかそんな愚痴ってたのか、あいつは」 「おまえの優しさは、分かりにくいからな」 だからおまえにかかったら、みんな良い人になるんだって。 苦笑して、深く紫煙を吐き出した。あのころだったら、絶対吸おうと思わなかったものだ。今も、折原が隣にいたら、絶対吸わないだろうと思う。
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