夢の続きの話をしよう《4》

11/37
前へ
/787ページ
次へ
「おまえ、折原のこと、好きなのか」 ――そんなわけないだろ、と即座に否定し損ねて、誤魔化すように煙草を吸いこんだ。 「ん、あぁ……どう思う?」 果して俺の声は、軽口を叩く調子を保てているのだろうかと思って、こいつ相手だったら今更かもしれないとも思った。 どうせ、ばれる。 「質問に質問で返すな。それに、俺が決めることでも判断することでもないだろう」 「おまえの正論、きついんだよ」 優しそうな顔をして、そのくせ誰もが言いにくいようなこともきちんと諭して、チームをまとめ上げていた。俺が知っているのは中等部での話だけれど。 「きついと思うのは、図星だとおまえが思ってるからだぞ」 「あー……そうなんかな。わかんねぇわ、俺」 好きだとは口が裂けても言えない。けれど嫌いだとも口にできない。ただの後輩だと言うには、同じ空間を共有してきた富原相手には白々しすぎる。 つまり、そう言うことなのだ。 「別におまえの口からはっきり聞きたいわけじゃないけど、なぁ、佐野」 聞きたくないな、と思ったのは、その先が予測できたからだ。 そしてそれが俺を揺さぶると分かっていたからだ。
/787ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6794人が本棚に入れています
本棚に追加