夢の続きの話をしよう《1》

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庄司と、栞と真知ちゃん。フットサルサークルに入学後まもなく入部して以来、行動を共にすることが多いメンバーだ。盛り上がる会話を後目に、俺はスロー再生が始まった映像からそっと視線を逸らした。 「庄司、知らないの? 折原くん、すっごい人気あるんだよー。かっこいいから。あたしこの間、練習見に行ってサインも貰っちゃったもん」 「や、知ってるし。確かに顔もかっこいいけどさ、サッカー選手じゃん。プレー褒めてやれよ。っつか栞、ルールとか分かってたっけ?」」 「なにそれー。あたし一応、うちのマネージャーなんですけど」 「ほぼ飲みサーだけどな。なぁ、佐野。……佐野?」 ぼうっとしていて一瞬反応が遅れた。そんな俺を悪酔いしたと思ったのか、庄司が顔を覗き込んでくる。 「あぁ、悪い。聞いてなかった」 「ちょっとちょっと聞いててよ。佐野、あたしちゃんとマネージャーじゃんね?」 上目づかいで見上げてくる栞に、「そうそう」と適当に応じてやると、満足そうな笑みを見せた。 ミーハーで気分屋なところもあるが、いつも明るい栞はこのメンバー内のムードメイカーだ。
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