夢の続きの話をしよう《1》

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「あ、そうだ。庄司と佐野もさー、今度一緒に練習見に行こうよ」 「試合なら見に行ってもいいけど、練習はいいわ。どうせ女の子が集ってるだけだろ」 「えーいいじゃん。結構おもしろかったよー。確かにファンの子多かったんだけどさ。ちゃんと折原くん、みんなの相手してくれたんだよ。それだけで行った甲斐あったもん」 「なおさら良いわ、それ。俺らが行っても楽しくねぇだろ」 「えー、佐野も? いや?」 こちらに飛んできた誘いに、どう断ろうかと悩むより早く、真知ちゃんが「あたしが付き合ったげるから二人で行こうよ」と栞を取り成してくれた。 庄司とはきっと異なる理由だけれど、行きたくないと思っていた俺には、その対応はかなり有り難かった。 お兄さんがずっとサッカーをしていたと言う真知ちゃんは、高校サッカーマニアと言う奴だ。 大学に入ってからの知り合いの中では、たぶん唯一真知ちゃんだけが、俺が高校まで真剣にサッカーをやっていて、そして故障したことを知っている。 折原と同じグランドに立っていたということも。 「ねぇ、じゃあ次どこ行くー?」 「あ、悪い。俺、帰るわ」 当たり前の様に次の店の提案が上がったが、あの映像を見てしまった今、これ以上飲む気分になれなかった。 断ると、予想外だったからだろう、栞と庄司が不満そうな声を出す。
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