夢の続きの話をしよう《1》

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「先輩」 折原が俺を呼んでいるのだと、すぐに分かった。 それこそ大所帯の体育会系だったのだ。「先輩」と呼びかける後輩は何人もいたし、先輩と呼称されるべき人間も何人もいた。 けれど折原の声は、どこにいたって俺を掴んだ。 それこそ、馬鹿みたいに。 誰もいなくなった部室で、寮の非常階段で。何度かキスをした。 一度だけ、互いの性器に触れたこともあったけれど、それも全部、男子寮での禁欲生活で溜まっていたせいだと思おうとしていた。 その相手がなぜ俺だったのかは、知らないけど。 先輩、と俺を呼ぶ折原の声に、いつしか甘いものが混じり始めたとき、まずいなと思った。 まずい。 こいつは、こんな男だらけの中で、どうしようもない勘違いをし始めているんじゃないのか、と。 ただの性欲処理じゃなくなってるんじゃないのかと。 このままじゃ駄目だと、歯止めが利かなくなると分かっていた。それなのに俺はいつも折原の声で「先輩」と呼ばれるともう駄目だった。 止められなくて、あとはもうなし崩しだ。 でもやめないと駄目だと、分かってはいたんだ。 けれどそれも、俺が卒業したらそのまま過去になって消えるのではないかと、そう言い聞かせて。ひどく他力本願のまま流されていた。
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