夢の続きの話をしよう《1》

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それがまさかあんな時期に、全てが中途半端なまま断ち切られるとは思ってもいなかったけど。 高校二年生の冬の、全国大会の決勝戦だった。 雪上の決戦と言われたその年、グラウンドは真っ白で、細かく吹雪いていた。 コンディションが悪かっただけのせいではないと思う。 様々な要因が重なって、そしてひどく運が悪かった。 あのころは当たりが悪かったなんて言葉に、どうしようもなく苛立ったけれど、でもそうなのかもしれないなと今なら思うこともできる。 誰が悪かったわけでもない。 強いて言うなら俺の未熟さかもしれないと思うくらいのレベルの話だ。 けれどただ一つ、はっきりと言えることがあったとしたら、全国優勝の決まった国立のピッチで、俺のサッカーも終わったと言うことだけだった。 もうやれないのに、深山にいることが苦しくて。 言い訳みたいに繰り返しながら、転校した。 これで終わりだと、何度も思いながら。 サッカーからも。 折原からも。
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