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「なにそれ。庄司あたしのことそんな風に思ってるんだ?」
「フツーそう思うだろ、プロ選手だろうがなんだろうが、結局ただの男じゃん。しかも俺らと大して年もかわんねぇんだし」
「最悪」
細い息を吐いた後、栞が小さく吐き捨てた。うん、俺も最悪だと思う、こいつ。
横目で庄司を見るに、明らかに口に出してしまったがために引っ込みがつかなくなっているだけだと分かる。でも、どう考えたってこいつが悪い。
それに――、
「もうマジ最悪。ばっかみたい。ちゃんと頭冷やして考えてよね、そうじゃなきゃ知らないから」
乱暴に机に手をついて栞が立ち上がる。そして鞄を肩にひっかけて颯爽と部室から出て行ってしまった。
その華奢な背中が完璧に見えなくなったところで、庄司が自業自得としか言えない溜息とともに顔を抑えて項垂れた。
「いや、おまえが悪いだろ。どう考えても」
「そんなん、佐野に言われんでも分かってるっつうに。あーもうなに言ってんだ、俺」
「おまえ、栞にだけは要領悪いもんな」
それが本気だからって言うのなら、かわいい気がしないでもないけれど。若干、俺も腹が立っていた。
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