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「いやー悪かったな、佐野! もうばっちり仲直りしたから、なっ」
ご機嫌な庄司が、講義終わりで帰ろうとしていた俺の腕を引っ張ったのは、あの日から一週間以上経った日のことだった。
「仲直りって……、なに、とうとう告ったの?」
むしろいい加減、とっとと纏まれよと生暖かい目で見守っているのは、俺だけじゃないはずだ。
だと言うに庄司は、「するわけねぇだろ、そんなもん」と何故か豪快に笑う。なんでそんなとこで自信満々なんだ、こいつは。
「じゃあ仲直りって、なにしたんだよ」
「なにって、仲直りは仲直りだろ? 悪かったって謝って、一緒に酒飲んできた」
なにをそんな当たり前のことをと言わんばかりに庄司が首をかしげる。俺は一瞬、心底、栞が気の毒になった。
そんな据え膳状態でなにもしなかったのか、この男は。これが栞以外の女だったら、ほいほい手ぇ出してるくせに。
「それよかおまえさー、例の折原くんと同じ高校だったんだって? 栞がもっと早く教えてくれたら良かったのにーってぼやいてた」
「だから言いたくなかったんだって。つか、俺が退学してからは交流なんて無かったんだよ、マジで。あの日会ったのが、それこそ三年ぶりだったんだよ」
言われたからって紹介なんてできねぇよと濁した俺に、ふぅんと意味ありげに庄司が眉を上げた。
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