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「――しらねぇよ」
だって、もし本当にここに折原がいたとしても、なにも俺に逢いに来たなどと言う理由であるはずがないのだから。俺がどうのこうのとする問題じゃない。
有名人がいる。その事態に学生が騒いでいる。と言う、ただそれだけの事実だ。
「でも人すげぇのは嫌だな。裏門から出ねぇ?」
「そりゃ俺は全然いいけど。……おまえ待ってんじゃねぇの」
「違うだろ」
短く言い捨てて、そのまま裏門の方へ足を向けようとしたはずなのに。
それができなくなってしまったのは、無駄に高い身長をフル活用して庄司が現状報告を始めたからだった。
「うっわー、かわいそー。めっちゃ囲まれてんな、折原くん。あれじゃ簡単に抜けらんねぇよなぁ。一応有名人なんだし、変な対応もできないだろうしなぁ」
……なんだそれは。俺にどうしろってんだ。訝しげに庄司を見上げると、「だってさぁ」と目を細める。
「顔が割れてる自覚くらいあるだろうし、なのにあんな目立つとこで待ってるってことは、会いたい相手と連絡取れなかったからしょうがなく……ってところじゃねぇの。だったら、相手はおまえだろ」
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