夢の続きの話をしよう《2》

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「先輩、俺ね」 少しの間の後、静かに折原が呼びかけた。 「俺、あのころからずっと、先輩からくる球なら、どんなコースでも、全部とりたかったんだ。先輩からのパスは、いろんなものが詰まってるような気がしてた。だから絶対決めたかった。それで先輩が褒めてくれるのが嬉しかった」 折原の言葉につられるようにして脳裏に浮かんだのは、ゴールを決めた直後の折原の笑顔だった。 いつも折原は球がゴールに吸い込まれると、振り返って俺を探していた。目が合うと心底嬉しそうに破顔して、飛びついてくる。 その姿を指して、他の奴らは「褒めて褒めて」ってしっぽ振ってる大型犬みたいだなとからかっていたけれど。 「でも、もうねぇよ」 断ち切るように吐き出した言葉は、思った以上に重たい響きを伴っていた。 「俺は、あんな風にもう蹴れねぇし、おまえと一緒に試合に出ることなんて絶対ねぇし」 「でも、別に本格的な試合じゃなくたって、俺は先輩と一緒だったら……」 訴えるように続きそうだった言葉を、俺は「折原」と一声呼んで遮った。 もうないのは、サッカーだけじゃない。 それはきっと折原も分かっていたはずなのに、なんで馬鹿みたいに言い募るのか。
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